〈このしたやみ〉について
2007年2月、京都府立文化芸術会館にて行われた、Kyoto演劇フェスティバルの実行委員企画として
「傘をどうぞ」「ソウルの落日」という作品を創作する際、初めて、演出 山口浩章、俳優 二口大学、広田ゆうみ という座組みで
取り組みました。その後、同年8月の利賀演劇フェスティバル及び、9月のぶんげいマスターピース競演チェーホフにおいて、
「熊」を上演し、このたび、長期的にこの3人で芝居創りに取り組もうと〈このしたやみ〉を組みました。
〈このしたやみ〉というのは、強い日差しの中、木の下にできる、濃い、しっとりとした影のことです。
昔の人は、そこに何か得体の知れないものが潜んでいると感じたのかもしれません。もしかすると、ぽっかり開いた、
この世ならざるところを感じる隙間だったのかもしれません。
芝居というものは、言葉を使って、言葉では言い表せない何かを表現します。
もやもやとした、はっきりしない、けれど確かにそこにあると感じられるもの。余白の中に潜むもの。
そういう輪郭のはっきりしない何かを掬い上げていきたいと思います。
〈このしたやみ〉 代表 山口浩章